Beauty✻Life通信 Vol.6
免疫ビタミンと言われるLPS(エルピーエス)という成分をご存じでしょうか。
実は20年以上も研究されている自然由来の成分なのです。
LPSとは
LPSとは、「リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)」の略です。
LPSは細菌の一部として存在する成分で、「グラム陰性細菌」と呼ばれる最近の外側に毛が生えたように埋め込まれています。
糖と脂質が結合した構造をしているので、日本語では「糖脂質」あるいは「リポ多糖」と呼ばれています。
もともとLPSは土壌や野菜についています。腸内の細胞や皮膚の細胞にとって、LPSがあることが普通の状態です。しかし、衛生環境が整った現代では食べ物からLPSを摂取することが難しくなってきているのです。
衛生環境が整った先進国でアレルギー疾患が増えているのは、LPSの自然摂取が減ったことが原因だということもわかってきました。
LPSが含まれている食品や漢方
LPSが比較的多く含まれる食品をご紹介します。LPSは漢方薬にも多く含まれており、十全大補湯については、有効成分の一つがLPSであるという論文も出ています(*1)。
(*1)Uncovering potential ‘herbal probiotics’ in Juzen-taiho-to through the study of associated bacterial populations, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 25 (2015) 466–469
土壌に含まれている細菌由来の成分であるLPSは、微生物の多い環境で育った野菜や穀物、海藻類に多く含まれています。LPSが多く含まれている食品は、玄米や皮付きの蓮根、めかぶ、ほうれん草、きのこ全般などです。
特に含有量が多いのは、めかぶやわかめです。多くの種類の微生物が存在している海で育った海藻類も農薬や化学肥料の影響が少ないためLPSが豊富に含まれています。
有機肥料や無農薬で育ったものの方が、様々な細菌や微生物がついている可能性が高く、LPSをより豊富に摂取できる可能性があります。
また、LPSは、穀類や野菜の皮の部分に多く含まれているため、穀物は未精製のもの、野菜は皮ごと食べるのがおススメです。
LPSの作用①:免疫細胞を活性化させる
LPSには自然免疫の要であるマクロファージを活性化させる作用があります。
「マクロファージ」は私たちの健康を守る免疫細胞のひとつです。感染症やがんなどの病気から身を守るためにも、マクロファージはつねに活性化されているのが理想と言われています。
免疫に関しては、またお伝えしますが、マクロファージが活性化されるとNK細胞やTリンパ球など他の免疫細胞も活性化されます。
LPSの作用②:肌荒れや抗炎症効果
免疫ビタミンLPSには、肌荒れを防いだり、炎症を改善したりといった効果があります。
LPSは皮膚の表面にあるケラチノサイトにアプローチして、「皮膚のバリア機能」の効果を高めてくれます。「皮膚のバリア機能」は、肌にうるおいを蓄え、乾燥や外部刺激から肌を守る役割を担っています。そのため、LPSによって「皮膚のバリア機能」が高まることで、肌が荒れるのを防いで健康な状態に保ってくれるのです。
LPSの作用③:便秘予防
もともと腸内細菌にもLPSは含まれていますが、腸内細菌のほとんどは「バクテロイデス」というグラム陰性細菌で、土壌などに共生している「バントエア菌」に比べると、LPSのマクロファージを活性化する力が弱いと言われています。そのため、免疫力アップのためには食べ物やサプリメントから摂取したほうがいいことが分かっています。しかし、腸内細菌に含まれるLPSは、腸の蠕動運動が促進され、便秘の予防に繋がります。
また、LPSは抗生物質の副作用を減らしてくれることが報告されています。抗生物質を飲んでいると腸内環境が変わることがありますが、そういったことに対しても効果的なのです。
LPSの作用④:育毛効果
育毛に関係するのが血流とホルモンです。
LPSにより活性化したマクロファージは毛細血管の数を増やします。毛細血管は肌の細胞分裂に必要な栄養素も届けているため、毛細血管が増えることで頭皮のターンオーバーの促進につながります。
また、ターンオーバーにはケラチノサイト(表皮細胞)の働きもとても重要です。ターンオーバーは、表皮の最下部でケラチノサイトが分化しながら上に押し上げられていき、最上部の古い垢が剥がれ落ちることによって行われます。
このようなターンオーバーが正常におこなわれるには、ケラチノサイトが分化する際におこなうオートファジー(細胞内のタンパク質を分解させる仕組み)がしっかりと機能していることが重要です。LPSにはこのオートファジーを促進しケラチノサイトを活性化させる働きもあります。そのためLPSは肌のターンオーバーを促進させ、頭皮の健康を保つことで育毛への効果が期待できるのです。
その他、線維芽細胞の増殖によるヒアルロン酸等の増加、毛乳頭細胞の血流改善による育毛・発毛、酵素(テロメナーゼ等)を活性化させることによる細胞の老化抑制などの効果もあるため
まだまだあるLPSの作用
- がんの発症予防
- 胃潰瘍の改善
- 肝硬変の改善
- 動脈硬化の予防
- 花粉症の予防
- 便秘の予防
- やけどの改善
- アトピーの改善
- アルツハイマーの予防
などなど。
まとめ
魅力いっぱいの免疫ビタミンLPSをご紹介しました。
お伝えしきれていない作用もまだまだ多く、一度ではお伝えしきれませんので、少しずつ皆様に有益な情報をお伝えしていきますね。
食べ物から摂取することも可能ですが、LPSを多くとる目的で野菜などを洗わずに摂取するのは不衛生であり、別の病気になりかねません。
食べものの力と安全なサプリメントを活用しながら、LPSを摂取するのがおススメです。
【増上寺:七夕まつり 和紙キャンドルナイト】
先日、東京都港区にある増上寺の七夕祭りに行ってきました。
人が多く暑い日でしたが、だんだんと日が沈んでくると、だんだんと美しい和紙キャンドルの灯が姿を見せてくれました。
短冊に願い事を書いたり、写経をしたり「和」にふれたひと時となりました。
キャンドルに使われている和紙は、すべて学生が一枚一枚心を込めて手で書いているそうです。(増上寺ホームページより)
看護師MIKIKO
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