細胞の老化とは―遺伝子と抗酸化の話―

生化学の専門家が紐解く   Vol.1

前回のコラム】
細胞の老化とはープロローグー

遺伝子の設計図で様々な細胞や組織・臓器が作られることは前回お話ししました。設計図通り作られない・コピーの間違いで別のものができてしまったら重大なことですね。

遺伝子が壊れると正しいアミノ酸が作られません。するとアミノ酸が結合してできる各種のタンパク質が「異物」になり体の仕組みで排除します。 ところが加齢とともに遺伝子の壊れる箇所が増え、異物排除が追いつかなくなります。

こうして「異物」は「がん化」したり「老化」の現象が現れます。

緩やかな老化、病気になりにくい健康な老化に向けて 1)〜10)の対策を一緒に考えましょう
(図1)

1)酸化を抑える抗酸化物質

 遺伝子が壊れる要因は、ほとんどが細胞・遺伝子の酸化です。よく言われる「錆びてしまう」ことです。

 紫外線や放射線、喫煙、化学物質などの外的な刺激だけでなく、私たちの生命維持に必要なエネルギーを作る「ミトコンドリア」が体内で活性酸素を出しています。ミトコンドリアを発電所に例えると発電時の排気ガスの様なものですね。過度な運動も排気ガスを出します。(図2)

 酸化には「抗酸化」物質と言われるポリフェノールやカロテノイドなどが防いでくれます。

 植物性の野菜や果物に多く含まれていますが、これも大きな刺激を長年浴びていると酸化除去が追いつきません。

 加齢とともに酸化除去のパワーが低下するのも要因です。

 ポリフェノールは植物が自身の身を守るために、葉や茎、幹、果実などの表面に作り出した恩恵です。

 皮膚に当たる表面を硬くして、色をつけ、抗酸化物質を身にまとい生きています。

 

 私たちの日常の生活にポリフェノールやカロテノイドなど、抗酸化物質の多い食材や飲料をとるように心がけましょう。

 不足分はサプリメントがオススメです。

 植物たちは、この地球上の二酸化炭素を酸素に変えて動物の生命を育んでいます。
 その自ら作った「酸素」から自身の身を守るために抗酸化物質を提供してくれているなんて感謝ですね。

次回は「2)遺伝子に影響する微生物の排除」のお話です。

HSOjapan 日本遺伝子治療医学研究会 会長
手代木秀一

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