~アンチエイジング・抗老化を生化学の専門家が紐解く~
人は生まれてから死ぬまでに
恒常性(ホメオスターシス)を維持しながらも
ゆっくりと「老化」していきます。
生まれてから成人するまでの変化は「成長」と呼ばれますが
成人して成熟期を迎えてから死ぬまでに起こる変化は「老化」です。
年月がたてば、誰でもが年をとり老化が進みますが
できるなら精神的にも、肉体的にも、いつまでも若々しくいたいですよね。
HSOjapan 日本遺伝子治療医学研究会 会長 手代木秀一氏より
シリーズでご投稿いただきます。
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日本は長寿の国と言われています。
1920年は男性42歳、女性43.2歳でしたが
100年後となる2020年は男性81.4歳、女性87.5歳と2倍伸びました。
寿命が延びた要因は
医療の進歩や
国民の健康意識の高まり
私たちの生活環境の大きな変化が貢献しています。
平均寿命の延伸が進む中、近年言われているのが健康寿命の重要性です。
「平均寿命」とは、0歳時点での平均余命のことです。
0歳の時点で、何歳まで生きられるかを統計的に表しています。
一方、健康寿命は、世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した指標です。
日常生活が制限されることなく、健康的に過ごすことができる期間のことをいいます。
日本人は健康寿命も延伸しており、男性72.7歳で、女性75.4歳(2019年)です。
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「老化」は、がんや生活習慣病、アルツハイマー病などの
あらゆる疾患のリスクとなります。
個人差が大きく、病気になるかどうかだけではありません。
気付かないうちに進み
体に様々な影響を与えて、
多くの臓器機能が徐々に低下していきます。
一方、年齢を重ねても若々しく見え、活力のある人がいます。
同じ年齢であっても肌にハリがあり若々しく見える人、老けて見える人
いつも元気で活力のある人、風邪を引きやすい人
など個人差がありますね。
なぜなのでしょうか?
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老化やがん化を左右するスタートは、遺伝子レベルでの「遺伝子の損傷と修復力」です。
私たちの体には細胞が37兆個あります。
この細胞が日々代謝し、古い細胞が廃棄されて新しく同じものが作られます。
ところが遺伝子が損傷すると、同じ「タンパク質」を作ることができず、同じ「細胞」が作られません。
壊れた遺伝子が別のタンパク質や細胞を作ってしまうので「がん化」や「老化」が起こるのです。
例えばコラーゲンタンパク質を作る遺伝子が損傷すると、
同じものが作られずシワが増えるなどの現象が起きます。
または、免疫タンパク質を作る遺伝子が損傷してしまうと必要な免疫が作られません。
悪性化すると「がん」と診断されるのです。
遺伝子を設計図(鋳型)にしてアミノ酸が集められ、
このアミノ酸が結合してタンパク質になり細胞ができます。
細胞の集合体が組織・臓器になるので、
どの場所の遺伝子が損傷を受けるかで様々な現象が現れるのです。
体の細胞は37兆個でしたね。
この細胞にある膨大な数の遺伝子が、
日々、損傷のリスクに晒されその影響を受けるタンパク質が10万種類あるので、
どれが損傷するかでその現象に個人差が出るのです。
古くなった細胞は代謝して身体から排出しないと
新しい細胞が作られない仕組みを私たちは持っています。
スクラップ&ビルド ですね。ちゃんと代謝で排出することも大事です。
代謝機能が悪いとゾンビ細胞が蓄積してしまいます。
また、遺伝子が正しくてもタンパク質の材料であるアミノ酸の供給が遅かったり、
アミノ酸バランスが悪いと、タンパク質をタイミング良く作ることができません。
様々な対策がありますが、、、
その対策は次回のコラムで
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HSOjapan 日本遺伝子治療医学研究会 会長
手代木秀一